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お知らせ・コラム

<薬膳コラム>

2017年9月15日(金)

【薬膳コラム】薬膳の原点

国際中医薬膳師、薬剤師、紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師の伊東千鶴子です。

 時に、薬膳は手に入りにくい生薬を取り入れた料理、
身体には良さそうだが美味しくはない、くすり臭い料理と誤解されることがあります。

 薬膳とは中医学理論に基づき、食物を用いて体調を整える養生法で、
健康の維持、増進、病気の予防、治療、回復などを目的としています。
薬膳で使われる食材は漢方で用いられる生薬と同様、天然物であり、
それぞれが性、味を持ち、それを食べると身体を温めるのか冷やすのか、
どのように身体に働くのかがわかっています。薬膳はそれを理解して組み立てられた、
美味しく、無理なく食用できるものです。取り入れる食材は特別なものではなく、
スーパーや産地直売所などで購入したもの、家庭菜園などで採れたものでも薬膳を作ることができます。

初めての出産で里帰りした時、産後の体調不良と不慣れな育児に戸惑っていた私に、
今は亡き祖母が「古血(ふるち)が取れるから」と、ずいき(里芋の茎)の酢の物を
食べさせてくれました。祖母が亡くなってかなり後に、
ずいきは食卓に上がるまでに手間のかかるあく抜きが必要と知りました。


 血の流れが滞って、血行不良が起こった状態を血?(けつお)といいます。
ずいきは?血(おけつ・血の流れが滞っているところ)を溶かして取り除くと
伝えられていたのでしょうが、「食物性味表」に里芋の茎について絞り込んだ記述は見つかりませんでした。
「本草綱目」には葉茎は妊婦の胎動などの不安を除くとありますが、民間で伝わるのと意味合いが違います。

 薬膳という言葉が初出したのは、中国の歴史書「後漢書列女伝」であるとされています。
病気になった継子に治癒を願った母親があふれる恩情をもって施したという、その食事は薬膳の原点といえます。
かつて祖母が作ってくれたずいきの酢の物も、産後に心身の不調を生じた私にとっては
体力回復を助ける食療薬膳だったのかもしれません。

平成29年9月15日

国際中医薬膳師、薬剤師、紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子