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お知らせ・コラム

<薬膳コラム>

2018年1月15日(月)

【薬膳コラム】風邪をひいたときの食療薬膳

国際中医師、国際中医薬膳師、薬剤師、紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師の伊東千鶴子です。

 寒さのせいでしょうか、このところ風邪をひく方が多いようです。

 中国最古の臨床医学書であり、急性疾患の治療について書かれた「傷寒論(しょうかんろん)」に
「太陽病で頭痛発熱、汗出て悪風(おふう)するものは桂枝湯(けいしとう)が
これを主治する」という条文があります。
桂枝湯は風邪のひきはじめに頭痛や発熱、悪風(風があたるのを嫌がる)し、
汗が出ている(てのひらが湿っている程度)人に用いる方剤で、桂枝、芍薬(しゃくやく)、
甘草(かんぞう)、生姜(しょうきょう)、大棗(たいそう)が入っています。


 条文には桂枝湯をのんだ後、熱くうすい粥(かゆ)をすすって薬の力を助け、
布団をかけて温かくし、じっとり汗をかかせて病を治すと書かれています。
ここでの熱いうすい粥は侵襲した病邪を発汗により取り除いて回復を手助けする、
実にシンプルな食療薬膳だと思いませんか。うるち米は気を補って消化吸収の働きを良くし、
うすい粥は水分補給にもなります。


 傷寒論に沿うと、風邪のひきはじめに肩や首、背中がこり、汗は出なくて
(てのひらが乾いているのが指標)悪風する人に用いるのは葛根湯(かっこんとう)です。
葛根湯の場合は布団で温める程度にしてじんわり汗をかかせ、粥をすする必要はないとされ、
葛根湯は桂枝湯に葛根、麻黄(まおう)が加わった方剤で桂枝湯より発汗力が強いのが
理由のひとつとされます。漢方薬も傷寒論の時代は煎じ薬、現代ではエキス剤が主流です。
できればエキス剤は白湯で服薬し、よりよく薬を効かせる食事があれば、一層治りやすくなるでしょう。

 寒くて風邪をひいた時、また身体がぞくぞくして風邪をひきそうな時にはおなかに負担をかけず、
病を深く進行させないよう、お粥、汁物、くず湯など温かく消化の良いものにねぎや生姜、紫蘇、
香菜など体表を開いて体内にある邪気を発散させる食材を取り入れてみるだけでもよろしいかと思います。

平成30年1月15日

国際中医師、国際中医薬膳師、薬剤師、紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子