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お知らせ・コラム

<薬膳コラム>

2018年7月1日(日)

【薬膳コラム】桑

国際中医師、国際中医薬膳師、薬剤師、紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師の伊東千鶴子です。

 皆様は桑の実を召し上がったことがありますか。そういう私は以前、地元の農産物直売所で購入し、
甘酸っぱさをうっすらと記憶しています。その時は赤ワインでサングリアを作りました。
桑の実はぶどうやブルーベリーなどに含まれる青紫色の色素成分であるアントシアニンやカロテン、
ビタミンB群、ビタミンC、鉄、カリウム、亜鉛、カルシウムなどのビタミン、ミネラルを豊富に含む健康的な果実です。


 中国原産のクワ科カラグワの集合果は桑椹(そうじん)という生薬で、血や血以外の身体に必要な水分を補充し、
全身に栄養を与え、腸を潤して排便を促す効能があり、めまいや不眠、目のかすみ、耳鳴り、早期白髪や糖尿病に伴う口渇、
便が硬くて出にくい便秘などに、単味あるいは他の生薬と合わせて用いられます。


 中医学では「髪は血余(けつよ:血の余り)」と呼ばれていて、血が充分にあって栄養を与えられていれば、
美しい髪を保つことができます。血を補う働きを持つ桑椹を取り入れると、比較的まだ若い方の
髪のトラブルである早期白髪が解消されるというわけです。


 またカラグワのコルク層を除去した根皮は桑白皮(そうはくひ)といい、肺の熱を取り除いて咳を止め
呼吸困難を和らげる、体内の余分な水分をお小水で出して腫れやむくみを取る効能があり、
咳や気管支喘息で使われる五虎湯(ごことう)、痰の多く出る咳によい清肺湯(せいはいとう)などに配合されています。


 さらにカラグワの葉は桑葉(そうよう)と呼ばれ、感冒の発熱や咳などに、ふらつき、めまい、頭痛に、糖尿などの口渇、
目の充血などに適応する方剤に配合されています。民間薬ではお茶にして利用されます。
カラグワの若枝は桑枝(そうし)で、関節痛や四肢のひきつり、浮腫などに用います。


 桑は蚕(かいこ)に食われるので、「食葉(くは)」、あるいは「蚕葉(こは)」が転じて
名付けられたと伝え聞いていますが、養蚕だけでなく、葉、実、根の皮、若枝と用途に合わせて
幅広く利用されているとわかります。


平成30年7月1日
国際中医師、国際中医薬膳師、薬剤師、紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子