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<薬膳コラム>
2025年12月15日(月)
【薬膳コラム】食べることは、生きること。癒すこと。
国際中医師、国際中医薬膳師、薬剤師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子です。
久しぶりに、対面でのセミナー講師を
務める機会をいただきました。
通常業務との両立で準備は大変でしたが、
薬膳師の仲間たちとの打ち合わせは、
とても楽しく、心弾む時間でした。
セミナー開催にあたり、
改めて自分の歩みを振り返り、
プロフィールを書いてみました。
少し長くなってしまいましたが、
薬膳に込めた想いを、ここで綴らせていただきます。
私は大学薬学部を卒業後、薬剤師免許を取得し、
製薬会社や薬局での勤務を経て、
明治初期創業の薬局に嫁ぎました。
以来、地域に根ざした薬剤師として、
日々患者さんと向き合うなかで、
「食は大薬」という思いが深まり、
薬膳の世界へと導かれました。
中医薬膳指導員、国際中医薬膳師、
そして探究心に導かれて
国際中医師の資格を取得しました。
薬膳を学び始めた頃は、
時間や経済的な余裕がある人向けの
趣味と思われがちでした。
しかし今年、NHKのドラマで薬膳が取り上げられたことで、
身近に感じられるようになった方も
多いのではないでしょうか。
薬膳に対して、「高価な生薬を使う料理」
「美味しくはないけれど身体に良さそうな料理」といった
イメージを持つ方もいらっしゃるかもしれません。
確かに生薬を使うこともありますが、
薬膳は美味しくあってこそ、
心に身体に届くものだと思っています。
美味しさは扉をそっと開く鍵、
薬膳の世界へとやさしく導いてくれるはずです。
「食べることは、生きること。癒すこと。」
そんな思いを込めて、薬膳の魅力を伝え続けています。
薬膳の本質は、誰かを思いやる心にあります。
それは古典にも描かれています。
「後漢書列女伝」に、こんな一節があります。
「先妻の息子が病気で危篤になった時、
継母は生みの親さながらに胸を痛め、
自分で薬や食事を調え、その恩情は溢れるばかりでした。」
薬膳とは、誰かの、 自分の、家族の、大切な人の、
心と身体を健やかにしたい、
癒したいと願う気持ちから生まれるもの。
その知恵を、少しずつでも分かち合いながら、
日々の暮らしに根づかせていけたら、そう願っています。
令和7年12月15日
薬剤師、国際中医師、国際中医薬膳師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子






















