一覧

  • 薬膳とは
  • 薬膳キャンパスの活動
  • 講座情報
  • イベント情報
  • メディア情報 活動実績
  • お知らせ コラム

HOME > お知らせ・コラム一覧 > 【薬膳コラム】重陽の節句

お知らせ・コラム

<薬膳コラム>

2026年9月1日(火)

【薬膳コラム】重陽の節句

国際中医師、国際中医薬膳師、薬剤師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子です。

九月九日は重陽(ちょうよう)の節句。
陰陽五行では偶数が陰、奇数が陽とされ、
陽の極数である「九」が重なる日ゆえに、
この名がつきました。

五節句のうち、
七草粥で無病息災を願う一月七日の人日(じんじつ)、
雛人形を飾る三月三日の上巳(じょうし)、
男児の成長を祈る五月五日の端午、
牽牛と織姫が出逢う七月七日の七夕は、
新暦にうまく馴染み、
今も季節の行事として親しまれています。


けれども、九月九日の重陽だけは、
どこか影が薄いままです。
宮中では菊花を浮かべた菊酒を飲み、

無病息災と長寿を願う行事が
続いてきたというのに、
新暦の九月はまだ残暑厳しく、
菊をめでるには少し早いからかもしれません。


 中国では、菊花には
延命の伝説がいくつもあります。
美しさと香り高さが邪気を祓うとされ、
菊花酒の風習が広まり、
やがて日本にも伝わりました。


 『神農本草経』には
「菊華は風による頭眩や腫痛、
目が脱けるように涙出するもの、
死肌(皮膚の知覚障害を生ずる病気)、
悪風、湿痺(関節炎、慢性関節リウマチのような病)を治し、
久しく服せば、血気を利し、
身を軽くし、老に耐え、年を延ぶ」とあります。


 キクの頭花を乾燥したものは
菊花(きくか)と呼ばれる生薬で、
熱感の強い風邪の発熱や頭痛、咳、
のどの痛み、目の充血やかすみ、
めまいなどに用いられます。
杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)、
釣藤散(ちょうとうさん)などの漢方薬にも配合され、
古くから人々の健康を支えてきました。


 今年の旧暦九月九日は十月二十日。
ちょうど秋が深まり、菊の香りが風にのる頃です。
食用菊が手に入れば、
料理やお茶に添えてみたり、
お酒に一輪浮かべてみたり──。

重陽の節句を、暮らしの中に
迎え入れてみるのもよろしいかと思います。

令和8年9月1日

薬剤師、国際中医師、国際中医薬膳師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子

  • 次のページ