一覧

  • 薬膳とは
  • 薬膳キャンパスの活動
  • 講座情報
  • イベント情報
  • メディア情報 活動実績
  • お知らせ コラム

HOME > お知らせ・コラム一覧 > 【薬膳コラム】啓蟄(けいちつ)

お知らせ・コラム

<薬膳コラム>

2019年3月1日(金)

【薬膳コラム】啓蟄(けいちつ)

国際中医師、国際中医薬膳師、薬剤師、紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師の伊東千鶴子です。

 古代中国から伝わり、太陽の動きをもととした二十四節気と呼ばれる暦があります。太陽の高さが最も低くなる日を冬至、最も高くなる日を夏至、これらの中間の日の春分、秋分、季節の始まりの立春、立夏、立秋、立冬など一年を二十四等分にしたのが二十四節気です。

 今年は3月6日に二十四節気のひとつ、啓蟄(けいちつ)を迎えます。啓蟄は冬の間巣ごもりしていた虫などが陽気に誘われて地上に出てくる頃であり、冬眠していた生き物が活動を始めます。

 さて、中国最古の薬物書「神農本草経」には、虻虫(ぼうちゅう:アブ科昆虫の雄)、桑螵蛸(そうひょうしょう:オオカマキリ、コカマキリ、ウスバカマキリ、ハラビロカマキリの卵鞘)、䗪虫(しゃちゅう:シナゴキブリ、サツマゴキブリなどの雌の成虫)、蜈蚣(ごしょう:アカズムカデやタイワンオオムカデなど)など、うごめく生き物も登場し、その薬効も明らかに記されていて、先人の観点に驚くばかりです。

 「神農本草経」に収められた動物を基原とする生薬を一部挙げますと、牛黄(ごおう:ウシの胆嚢、胆管の結石)、麝香(じゃこう:ジャコウジカの雄の袋状腺嚢の分泌物を乾燥したもの)は意識をはっきりさせる開竅(かいきょう)薬として、神農本草経では白頚蚯蚓(はっけいきゅういん)と記載された地竜(じりゅう:フトミミズ科動物の内容物を去って乾燥したもの、ツリミミズ科カッショクツリミミズを乾燥したもの)は清熱、利尿などに使われ、阿膠(あきょう:ロバやウシなどの皮から作られるにかわ)は滋陰補血、止血の要薬として黄連阿膠湯(おうれんきょうとう)や芎帰膠艾湯(きゅうききょうがいとう)などに配合され、現代まで長く用いられています。


平成31年3月1日

国際中医師、国際中医薬膳師、薬剤師、紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子