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お知らせ・コラム

<薬膳コラム>

2023年11月1日(水)

【薬膳コラム】ずいき

国際中医師、国際中医薬膳師、薬剤師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子です。

初めての出産のため里帰りした時、
産後の不調で心身共に弱っていた私に、
祖母が酢ずき(ずいきの酢漬け)を
作ってくれました。

ずいきは里芋の葉柄
(茎と葉の間の部分)のことで、
酢に漬けると赤く鮮やかに発色します。



故郷では、ずいきの酢漬けは
「血をきれいにする」、
「産後のふるち(瘀血)を取り除く」といわれ、
産後の女性が食べるものとして
知られていました。



中国明代の「本草綱目」には、
「芋(里芋を指す)、産婦が食えば、
血を破る(血の滞りを除去する)。
汁を飲めば血渇(産後の出血及び
各種の失血によっておこる口渇)を止める。」、


江戸時代の本草書である「本朝食艦」には、
「芋の子及び魁(おやいも)、
宿血(滞留した血液)を破り、
死肌(しき/知覚全麻痺)を去り、
気を下し、腸を寛げる。」の記述があり、


芋の葉柄にも同じ働きがあると
考えられたのでしょう。



また、先の「本草綱目」において、
「醋(酢)、産後の血運(血の巡り)を治し、
癥塊堅積(ちょうかいけんしゃく)を除く。」、
「瘀血を散じ、黄疸、黄汗を治す。」とあり、
ずいきを酢で和えることにより、
瘀血を取り除く作用が
さらに増すと考えられます。



性味表では、里芋、ずいきとも、
瘀血を取り除く化瘀、袪瘀、
散瘀や血行を促し、
血の滞留や固まりを消散する
活血という直接的な効能の記述はなく、


共通するのは軟堅といって、
体内のしこりや固まり、瘀血や痰、
結石などの腫塊を軟化させ、
排出させる作用です。


産後の体調を回復させるには、
瘀血を取り除くとともに、
気と血を充分に補う、
慣れない生活に対応できるよう、
気を巡らせるのも必要かと思います。

 

かつて、祖母や母がしてくれたように、
いつか、子らを支えてあげたいです。


 2023年11月1日

薬剤師、国際中医師、国際中医薬膳師、
紡ぐしあわせ薬膳協会認定講師 伊東千鶴子